この、「2010年からは定時で帰ろう」シリーズの記事は、実は Redmine という OSS(オープンソースソフトウェア) の紹介記事です。
これからも、この Redmine の紹介記事を書いていきますが、その前に一つだけ気に留めておいて頂きたいことがあります。
それは、ソフトウェア開発者以外の方にとっては「Redmine は一部の機能だけでも魅力的です」ということです。
Redmine はソフト開発者だけのもの?
Redmine は、バグトラッキングシステム というジャンルに分類されます。
これは、ソフトウェア開発でバグ(欠陥)の修正を効率的に行うためのシステムで、バグ報告から修正版ソフトウェア公開まで、非常に幅広い機能を持っています。
そして、おそらくこの記事を読んでくださっている方のほとんどは、「バグトラッキングシステム」なんて必要ない方だと思います。
しかし、私たちはそれを承知の上で、なおも Redmine を薦めたいと思っています。
なぜならば、(ソフトウェア開発以外の)多くの職場でも、Redmine の機能は役立つものだからです。
「課題」
Redmine では一つの仕事を チケット という名前で呼びます。
これがソフトウェア開発では、修正するべき「バグ」であったり、作るべき「機能」であったりするわけです。
Redmine を使った作業の進め方は、基本的にこのように進めます。
- 報告者がチケット(=バグ、機能)を登録する
- リーダーが担当者を決める
- 担当者が作業をして、チケットを更新する
- リーダーが作業終了(=バグの修正、機能の追加)を確認し、チケットを終了する
さて、このチケットを「課題」と読み替えてみてください。
- 報告者が「課題」を登録する
- リーダーが担当者を決める
- 担当者が作業をして、「課題」を更新する
- リーダーが作業終了を確認し、「課題」を終了する
いかがでしょうか、これならばソフトウェア開発の現場でなくても通用すると思いませんか?
実際に我が ITPK では開発以外の作業についても、 Redmine を使っています。
例えば、、、
- 年賀状印刷
- 買掛金/売掛金の処理
- 電話料金の問い合わせ
- プリンタの購入計画
など。
全ての仕事を Redmine で管理することのメリットは、「漏れがなくなる」ことです。
優先度が低い仕事であっても、常に作業リストには並んでいるので、「忘れ去られる」ということがありません。
仕事の計画を立てる際に、(後回しにするにしても)一旦目に入るので、その作業があるという前提で計画を立てられるのです。
「情報共有」
詳細は次回以降に書こうと思っているので概要だけ紹介します。
チームメンバー同士の情報共有はどのようにしていますか?
直接会って話せれば、かなり微妙なニュアンスまで共有できますが、なかなか時間が合わないという欠点があります。また、伝わったと思ったのが錯覚だった、なんてことも。一番の問題点は、記録が残らないことではないでしょうか。
最近では、情報はメールでメンバーに送る、なんていうことも一般的に行われているようです。
でも、メールは非常に便利で手軽なだけに、他の用途にも使われますから、きちんと整理しておかないと、読みたいメールが埋もれてしまいがちです(メールって検索しにくいんですよ)。
それと、後から参加したメンバーが過去の情報を読めない、という欠点も大きいです。
Redmine では、チームメンバーの情報共有のために、「ニュース」「フォーラム」「文書」「Wiki」という機能があります。
どれも似ているので、どれを使ってもOKです(一般的にも使い分けの明確なルールはないようです)。
とにかく、仕事に関する情報は、全てまとめて Redmine に登録してしまうのです。整理の苦手な人は書き込むだけで、後は整理上手の人が分類する、なんてのもいいでしょう。
我が ITPK では、
- 頻繁に変更される事柄 → Wiki
- 議事録 → 文書
- 定型業務の作業手順 → 文書
- ディスカッション(雑談?) → フォーラム
という具合に使っています。
「更新履歴」
もう一つだけ。とても便利で、ソフトウェア開発には必須システムなのに、それ以外の業種では全然使われていない機能を紹介させてください。
それは、バージョン管理システム です。
バージョン管理システムとは、ファイルの「更新履歴を管理」するためのシステムです。
皆さんの職場でも、見積書や企画書、報告書などの文章を、Word や Excel などで作ることがあると思います。
さて、このファイルを複数の人が編集する、なんていうことはありませんか?
過去に私にも経験があるのですが、このようなことをしていると、たいてい
- 誰かが変更したのに気付かず、別の変更で上書き保存してしまう
- 誰かが変更したみたいだけど、何を変えたのか分からない
- 誰かが変更したらしいが、変更したファイルを送ってこない
といったトラブルが発生します。
しかし、バージョン管理システムを使用することで、
- 複数の人の変更を合わせる(マージする)ことができる
- 複数の人が同時に変更できないようにも設定できる
- いつ、誰が、なぜ、どのような変更をしたのかが分かる
- 他の誰かが変更したファイルを、いつでも取得できる
- いつでも過去の好きな状態に戻すことができる
我が ITPK では、Redmine に Subversion というバージョン管理システムを連携させて使用しています。
実はこの Subversion は、ただ単にファイル共有機能だけでも、非常に便利なのです(詳細は今後の記事で紹介していきます)。
まとめ
Redmine や Subversion は、一部の機能だけでもとても魅力的です。
特にその “一部の機能” は、ソフトウェア開発者以外の方にこそ使ってもらいたい機能です。